MTBなどではSRAMによるフロントシングル化が一般的になってきましたが、ロードバイクはまだまだです。現在のコンポーネントは105ですがWolf toothのナローワイドチェーンリングを使ったロードバイクのフロントシングル化を実施。結果としては非常に満足できるカスタムだった。
2018年:FC-RS510とwolftooth 40Tでフロントシングル化
2019年:クランクをULTEGRA FC-6800に交換
2020年:ROTOR ALDHUのクランクとチェーンリング 44Tに交換
ロードバイクのフロントシングルについて
街乗りではフロントはインナー。サイクリングなどではフロントはアウターを利用しているがフロントのダブル・トリプルは変速時に歯数が大きく変わったりクロスする部分があり煩わしい。2014年に以前のロードバイクに乗っていたころからフロントシングル化をしたかったができずにいた。
ロードバイクで使うギア比とフロント変速の課題
ギア比がクロスしているためフロント2枚(50/34T)、リア11枚(11-28T)で22段変速ではあるが実際はギア比は被っている。またフロントインナーで変速していきアウターにする際は、リア側を落とさないとシフトチェンジがうまくいかない。フロントをアウターに変えるときリアは3段落とさないとスムーズな変速にならない。
実際はクロスしているギア比を除くと(厳密にはギア比が違うし変速数は変わらないが)2 x 11 = 22段変速だが、11 + 5 = 16段のギア比になる。インナーを11段使い切るとアウターは50T / 15T以降の5段が重複なしになる。
実際はフロントディレイラーのチェーンガイドと接触して実用的ではない組み合わせもあるしチェーンが外れるリスクもある。あとうるさい。
最近のフロントシングルのトレンド(2020年)
シクロクロスバイクやグラベルロードバイクなどが流行りだしてきて選択肢が増えてきました。SRAMのFORCE1、APEX1。以前からあるがROTORなど。またリアカセットがワイド化してSHIMANOでもULTEGRA R8000には11-32T、11-34Tまでがラインナップされてきた。
13速の時代になると、フロントシングルのワイドレシオという選択肢がもっと選びやすくなるかもしれません。軽量化とカスタマイズ性を考えるとROTOR ALDHUとDURA-ACE R9100 11-30Tの組み合わせが良さそうだと思い、2020年にその組み合わせでフロントシングル化をアップデートしました。
ロードバイクのフロントシングル化、パーツの選び方
ロードバイクのフロントシングル化で必要なパーツ
チェーン脱落防止の為に、ナローワイドリングが必要。クランクに合うチェーンリングを入手することができれば必要なパーツはナローワイドのチェーンリングだけでロードバイクのフロントシングル化が可能。
チェーンリングの選び方
2014年当時は楕円チェーンリング(フロントのギア)が何となく流行っていて一部でロードバイクのフロントシングル化を行う人がいた。2018年もそこまで状況は変わっていないようだ。当時からあるWolf Toothのチェーンリングを購入することにした。
フロントのクランクが11SのFC-RS510。P.C.Dが110mmとなり対応する商品は、110 BCD ASYMMETRIC 4-BOLT FOR SHIMANO CRANKS。ロード用のクランクでは、最新タイプのDura-Ace R9100、Ultegra R8000のクランクには注意が必要。形状が合わないようだ。
チェーンリングの歯数をどうするか
Wolf ToothのSHIMANO 110mm用は36T / 38T / 40T / 42T / 44T / 46T / 48T / 50Tと2T刻みのラインアップになっている。ちょうど真ん中は42Tか44Tとなる。
脚力が全然無いのバーチャルライドでは最悪ロードバイクを降りて坂を登るというのができないため、ロー側基準で考えた。今ついているカセットが11-28Tで一番軽いローが34T x 28T = 1.21。105グレードのCS-R7000には11-25T / 11-28T / 11-30T / 11-32Tが揃っており40T x 32T = 1.25にできるため今回は40Tを購入することにした。脚力が増したり坂に課題がなくなったら買い直せば良いと思う。
結果としては40T + 11-28Tというギアレシオのナローレシオ化。長距離のライドよりも街乗りが多い場合は、チェーンリングの歯数は小さめのほうがよいだろう。ただし最高速度が犠牲になる。
もしギヤ比が合わなかったらと考えるとカセットのほうが入手性が良いとするならば11Tより小さくはできないが28Tよりは大きくできる。そう考えると40Tではなく44Tなどの選択をしてもよいかもしれない。
フロントシングル用のチェーンリングの購入について
公式サイトから輸入した。またシングル用のチェーンリンクボルトも公式サイトで購入。なお執筆時点(2018/11)で110mmシマノ対応品は旧11速の対応となるDura Ace 9000, Ultegra 6800, 105 5800, Tiagra 4703, and Tiagra 4700。新11速のDura Ace R9100, Ultegra R8000 and 105 R7000に関しては取り付けに若干の加工が必要。
ロードバイクのフロントシングル化、作業レポート
Wolf Toothの取り付け
必要なものは、Wolf Toothのチェーンリンクとシングル用のチェーンリンクボルト(6mm)が必要になる。スペーサーがあればダブル用のチェーンリンクボルトを流用できる。またフロントディレイラーを取り外す際にチェーンを外す必要がありミッシングリンクでない場合はチェーンカッター及びチェーン交換が必要。
ミッシングリンクで接続されているのでミッシングリンクを取り外す。基本的には再利用ができない場合もあるので商品の説明に従ってください。せっかくなのでこのタイミングでチェーン清掃とかもよいかもしれない。
チェーンを外したら、フロントディレイラーを取り外す。再利用はしないのでケーブルを切ってフレームのマウントから取り外す。STIから引き抜くためにインナーにしておきましょう。「さようならフロントディレイラー!」
フロントディレイラーと、STIからのケーブルを抜きました。STIはケーブルを抜いただけでそのままにしています。108gのマイナスです。多少は軽量化にも役立ちます。フロントディレイラーが無いと車体がスッキリします。
左のクランクアームを外します。
ボルトを緩めたら、クランクボルトを外します。シマノ純正のクランク取付工具 TL-FC16。できれば純正工具を使いましょう。手で緩めることができます。
外れました。新車なのと雨風にあたっていないのでネジ周りは固着していないので作業は比較的楽。様々な箇所が固着している場合は、CRC-556など利用して工夫してください。
ボルト外します。ロック用のプレートをなくさないようにしてください。プレートの穴が空いている法が車体内側です。ボルトのグリスは落として装着時に塗り直しましょう。
左のクランクアームは出て外すことができます。できる限り整頓しながら作業するようにしましょう。また外した順番を覚えられるような整頓が良い。
クランクの取り外し。プラスチックハンマーで叩きます。できる限り垂直に。優しく叩いて大丈夫です。少しずつ押し出す感じに。プラスチックハンマーがない場合は、タオルなどで保護をして何かで叩きましょう。プラスチックハンマーは安いので買いましょう。固着部分を叩いたりにも使えます。
クランクも外れました。できればアルテグラグレードにしたいのですが、クランクセットだとチェーンリング2枚が不要になってしまうのですよね。探せばバラ売りがあると思いますが。
クランクからチェーンリングを取り外します。4本のチェーンリングボルトを外すとバラバラになる。
50Tと34Tのチェーンリングを取り外し。244g。フロントディレイラー(108g)と合わせると352gの取り外し。
Wolf Tooth 110 BCD ASYMMETRIC 4-BOLT FOR SHIMANO CRANKS 40Tとシングル用のチェーンリングボルト。78gと軽量。352g – 78g = 274gの軽量化となるようだ。
クランクにチェーンリングを取り付け。チェーンリングとクランクの接地面、チェーンリングボルトにグリスを塗りはじめは手でボルトを締めて、その後ヘキサゴンレンチで対角に締め込んでいきます。トルクレンチがある場合は12Nmくらい。特に取り付け直後は定期的に緩みのチェックを。
せっかくならクランクアームにSHIMANOのロゴがあり、Wolf Toothのロゴと向きを合わせてあげる。チェーンリングボルトにもWolf Toothのロゴがあり個人的には真っ黒が良かったが悪くない。
ここからは取り外しの逆順です。せっかくなので汚れている場合はクランクまで取り外すというのは少ないので清掃しておきましょう。
クランクを取り付けて左クランクアームを取り付け。その際にロック用のプレートを忘れないように。その後チェーンを通して変速のテストを実施。自分の場合はリアディレイラーの調整は不要でした。
ロードバイクのフロントシングル化:インプレッション
フロントシングル化をしたことで今のところはメリットしか感じていない。10%程度の勾配だと若干厳しいが登りきれる(40T – 28T)。トップスピードも回り切るということが今のところはない(40T – 11T)。
- 静か!室内ロードバイク乗りとしては一番メリットかも
- ロー(28T)からトップ(11T)まで綺麗に使い切れる
- フロント変速の煩わしさから開放
- クランク周りがスッキリでかっこいい
長年やりたかったフロントシングル化(1×11)。かなり良かったです。MTB領域を見る限り今後はロードバイクでも流行ってくるのではないかと思う。リアが12速などになったらなおさらフロントはシングルになってくるのではないでしょうか。
ロードバイク フロントシングル化:インプレッション2
ロードバイクのフロントシングル化をして約1年半。クランクをアルテグラのクランクに変更したり、ホイールを変更したり室内専用でしたが街乗りとしてもそれなりに走行してみました。
軽量化の恩恵と余計な変速を意識しなくていいというのは本当によい。ただ山登りは難しいと思うが比較的坂が多い都内は特に問題なく走行できる。
可能であれば違う歯数(自分ならば44Tか)の予備を持つか、リアカセットを11-32Tなどを予備として持っておくと良いかもしれない。今買い直すならば42Tか44Tかなと思います。街乗りでロー側に入れることは皆無でした。
ロードバイクのフロントシングル化、クランク周りの掃除もしやすいですよ!